お絵かきの好き嫌いはどうして?得意な子と苦手な子の分かれ道はいつ?
男女で差がある?
男の子遊が好みそうな遊びと、女の子が好みそうな遊び、お絵かきはどちらに入るのでしょうか。
「うちの子は女の子だから絵が上手」とか「上がお姉ちゃんだから下の子もよくお絵かきしている」なんて聞きますね。
確かにそのような傾向は無いとは言い切れません。
ですが男の子でもお絵かきが大好きで電車のように緻密なものを絵に描く子もいます。
男の子は動きのある遊びを好み、女の子は静かな遊びを好むイメージからくるところもありますね。
「男の子だからお絵かき好きじゃない」「女の子だからお絵かきセットを喜ぶかな」こんなバイアス(思い込み)もあります。
実際は男女で集中力や創造力の差はありません。
何人もの子どもたちを見てきても「男の子だから雑」でもないし「女の子だから細かい」も無く、至って平等と感じています。
いつから苦手意識が出る?
お絵かきの好き嫌いは主体的な遊びの環境で育まれ、得手不得手は受動的な環境で植えつけられるのだと思います。
つまり主体的な環境では自分ひとりの描きたい気持ちで楽しく描けるけれど、決められた受動的な環境ではみんなと一緒に描くので差が出やすいのです。
絵を描くことは、子どもにとって本来は楽しい表現のひとつです。
乳幼児は初めてクレヨンを手にすると、描くというよりは点描きや腕の運動のような殴り描きをとても楽しそうにしています。
その姿には苦手意識も、得手不得手当然ながら感じません。
ひとしきり遊び、満足すると次第に意味のあるものを描きはじめます。
その時に「楽しい」と思えた子は、絵を描くことがどんどん楽しくなり、表現力も技術も向上します。
絵を描くのが楽しいから「上手に描きたい」と自分で工夫します。
これが主体的な行動であり、子どもの自信に繋がります。
幼稚園という集団に入り、受動的に絵を描く環境になることでその気持ちが大きく変化するのです。
結果ではなく過程を見る
今まで自由に好きなものを描いていた子も幼稚園では「今日はお庭のナスを描いてみよう」と題材が決まっています。
好きなものは描けても他の題材だと「どんな風に描けばいいかわからない」なんて子もいます。
「上手に描かなくてはいけない」状況では描くこと自体が楽しくなくなります。
幼稚園や保育所は、幼稚園教育要領や保育所保育指針で示された各領域(健康・言葉・表現・人間関係・環境)に沿って、カリキュラムを立てます。
保育室に同じような整えられた絵を飾っている幼稚園は相当な指導が入っています。
本来、幼稚園は絵画教室ではありませんので、絵の上手い下手のように技術的なものは二の次です。
絵画の描き方を教える項目は一切無く「表現することが楽しいと思える」ことが目標となっています。
ですが作品として整っていないと周りの評価が怖いと恐れる先生たちがいるのです。
絵を何枚も描くことで技術力は多少上がるかもしれませんが、苦手な子はその度に嫌な思いをし、自己肯定感も自尊心も低くなります。
悩んで、苦しんで描き上げた絵は整っていて一見きれいですが、描くことが嫌いな子どもになってしまっているかもしれません。
作品を見て「上手だね」と結果を褒めるのではなく「頑張ったね」と一生懸命描いた過程を褒めるてください。
そうすることで、子どもも先生も評価に囚われず、自由に表現を楽しむことが出来るかもしれません。
「上手じゃなくても描くことって楽しい」と思えるはずです。
バランスの良い遊びは後伸び力
学習や発達にはそれを取得するまでの準備が必要です。
これは「レディネス」と言われる心理学用語です。
〇や×が書けなかった子が文字を上手に書くことが出来ないように、ひとつ取得して次にステップアップなのです。
大きな発達の偏りは後の発達に影響を及ぼすことがあります。
「汚されるので描かせていません」など幼稚園に入園して初めてクレヨンを触った・・・なんて子も中にはいます。
まったく絵を描いていなかった子は、4~5歳になるとお友だちの絵と自分の絵を比べて落ち込んだり、傷ついたりします。
文字や数なども教え込む必要はありませんが、文字や数が日常的に目にするところにある環境は必要です。
「ママにおもちゃ1個ちょうだい」のように意識的に数に触れることで関心が生まれます。
ひとつのことに特化していることも素敵ですが、いろんなものに対しての興味の下地があることも大切です。
このいろんなものへの興味は好奇心の広がりを手伝い、やがて大きな力になるかもしれません。
これが「後伸びする力」だと思います。
読んでいただきありがとうございました。