食べ物の好き嫌いはどうして起こる？

「小さい頃は食べていたのに大きくなったら食べなくなった」子育て中のお母さんからもよく聞かれます。
好き嫌いが多いと「しつけが悪い」と思われる傾向にあるため、多くのお母さんたちは「直したい」と思うようです。
好き嫌いは遺伝的なものと環境や経験から起こると言われています。
お母さんが好き嫌いが多く、同じような物ばかり食べていると、子どもの食の好みの幅が極端に狭くなります。
これはお腹にいる状態から始まっているという研究報告もあるそうです。
また、人は初めて食べるものに恐怖を感じる「新寄性恐怖」を持っています。
これは初めて口にする物が安全かどうかがわからないため恐怖を感じることから起こります。
そのため最初の一口のシチュエーションが重要だったりします。
楽しい雰囲気で信頼できる大人が一緒に美味しそうに食べることでプラスの経験として記憶に残ります。
最初の一口の時に威圧的な雰囲気だったり、味や食感が悪かったりするとその後も嫌いになったりします。
また「嫌悪学習」のように食べた後に体調が悪くなって吐いた、その食べ物に虫が入っていた、など嫌な記憶が呼び起こされることで負の学習が働きます。
その場合は心理療法などで克服させる必要があります。
そもそも子どもは味蕾（味を感じる器官）が大人よりも敏感なため、ピーマンの苦みなどが感じやすいため嫌いな子が多いのです。
小さい頃は受け付けなかったものが、大人になってから食べられるようになることもありますね。
そのため、最初にその食材を味わう時は食べにくいものは子どものなじみの良い味付けにする工夫が必要です。
私の知っている「何でも食べられる子」はいろんな食材を普段から食べているか、頑張り屋さんな子が多いのも事実です。

好き嫌いが多いのは悪い事・・・？

「好き嫌いが多いことによる影響は何か？」という課題がある大学で出されていました。
私の経験上好き嫌いが多い子、極端に職が細い子は食べる以外の面でも集団生活において苦労があるように思います。
好き嫌いは食べ物だけに出るのではなく、自分が「受け入れられる」ことの幅が狭い子が多いのです。
つまり端的に言えば「わがまま」なのです。
我慢して合わせる経験が足りないので、集団生活にもなかなか馴染めずに、自信を無くしてしまうのです。
「好き嫌いが多くても大人になれば気にならなくなる」
「たかが食べ物でそんなに目くじら立てなくても」
これらは実際に小学校の一年生担任の先生が仰った言葉です。
確かに小学校ではひとりに向き合う時間も無く、コンプライアンス的にも難しいご時世で「たかが食べ物の好き嫌い」と言いたくもなりますね。
でもそれが堂々と意見の言える素晴らしさとして将来まかり通るのかは甚だ疑問です。
単なる大人なら時間が経てばなれますが「立派な」を付けようとすると難しいですね。
周りの人と良い空気間の中で関わりあっていける人が調和のとれた立派な大人であるならば、「これもこれも嫌い」と恥ずかしげもなく言われる方は「子どもっぽい」印象を与えます。
一緒に食事に行っても「好き嫌いが多い人」と「私は何でも食べられます」という人では気の遣い方が変わります。
どんな大人になってほしいのか・・・にも関わってくる問題です。

好き嫌いは無理に直さない？

トマトは駄目でもケチャップは大丈夫、ホウレンソウが嫌でも小松菜なら食べられるのであれば十分です。
ですが固いものは嫌いで、柔らかくて食べやすいものしか食べないのであれば、顎の形に影響が出ます。
「幼稚園はお弁当だから今から無理しなくても・・・」
毎日好きな物だけt詰めたお弁当ならともかく、給食を出す幼稚園も少なくありません。
いずれ小学校では給食を食べるようになるのですから好き嫌いは避けて通れません。
「好き嫌いも個性じゃないの・・・？」
もちろんそう言ってあげたいのですが、食育も保育の中で重要な側面を担っています。
食べ物を大切に、すべてに感謝して、と食の尊さに気づいてほしい・・・そんな中「嫌いだから食べなくていい」とはなかなか言えません。
子どもたちは特別扱いにはとても敏感ですから集団の質の低下にも繋がります。
食べ進められない子に「残したら勿体ないよ」「ひと口でも頑張ろう」といった声掛けをしますが、この声掛け自体が劣等感となることもあります。
集団に入る前に極端な偏食は緩和できるといいかもしれません。

どうすれば減らせる？

シチュエーションが大切なので、一緒に野菜を育てる、調理するだけであっさり食べられるようになったりします。
「人参は風邪菌から守ってくれるよ～」というだけで子どもはひと口食べてくれます。
「家では限界・・・」「幼稚園に入ればみんなと食べてくれるかも・・・」と偏食に悩む親御さんは思うかもしれません。
確かに３年間幼稚園に通えばお友だちの手前、食べないと格好悪いと子どもながらに思うようで、好き嫌いはかなり減少します。
ですが英語や体操、文字数の指導などカリキュラムが多い幼稚園は生活習慣に時間を掛けるゆとりはありません。
集団に期待を持つならば、食べれるまでお付き合いしてくれる園かどうかを確認してほしいと思います。
また、好き嫌いはアレルギーから起こる場合もあります。
自分では自覚が無く、受け付けない場合は体に合わないので、無理に大量に食べることは危険かもしれません。
無理に直す必要はありませんが食べられるものが少ないより、多い方が豊かな食生活が送れます。
嫌いなものを遠ざけるより「食べてみたい」好奇心は人生をより豊かにします。
親として出来れば楽しく豊かな人生を歩んでいってほしい・・・好き嫌いをなくしたい思いの原点はココにあるのかもしれません。

好き嫌いが無くなるおススメ絵本です。

読んでいただきありがとうございました。