言葉が遅いと言われた子。「様子をみましょう」はいつまで有効?放っておけない言葉の遅れ。
言葉の心配は早い方が良い・・・?
発達には個人差があります。
私が知る限り言葉が遅れていると感じる子や、実際親御さんから相談を受ける子の半数以上に環境が起因していると思われます。
口腔機能の問題、もしくは遺伝も多少はありますが、言葉は環境で大きく左右されます。
言葉を促す環境づくりは胎児の頃から始まります。
意識をされている方も多いと思いますが、耳の機能が完成される妊娠5ヶ月からはお母さんの声を聴いていると言われていますね。
生まれて間もない新生児でも、お腹の中で聞きなれたお母さんの声に反応して泣き止みます。
目が見え始めると自分に話しかけてくれるお母さんの口元をじっと見ていることがあります。
反応が無いから、何を話していいかわからないからと、声を掛ける回数が極端に少ないこともよく聞く事例です。
スマホやテレビを見ながらの授乳やオムツ替えはもっての外、中にはお母さんが極端に早口・・・なんてケースもありました。
話しかけることが少なかった、もしくは適切ではなかったことで、その後の言葉の獲得が大きく遅れます。
つまり胎児の頃から意識して言葉の環境を整えないと、順調な言葉の発達は難しいことになります。
赤ちゃんは生後2ヶ月頃から機嫌のいい時は「あ~」「う~」と声を出し、やがて喃語でおしゃべりします。
次第に「まま」「ぱぱ」などの意味のある言葉を発するようになり、大体2歳頃までには「ぱん ちょうだい」と二語文に発展します。
母子手帳などにある、一般的な発達と照らし合わせて「遅れているな」と感じたら、少しでも早く環境を見直してみませんか。
言葉が出ない原因は・・・?
環境的な問題では、母子間での語り掛けが極端に少ないことが挙げられます。
赤ちゃんのお世話をする時や機嫌よく声を出しているときなどに語り掛けたり、相槌を打つことで発語への意欲を引き出します。
テレビに子守をさせ過ぎることは一方通行な会話ですので、言葉を促すことになりません。
機能的な問題では口腔機能の他に、耳の聞こえがあります。
口腔機能は見た目でわかることが多いのですが、耳の聞こえなどは様子を観察しないとわかりません。
新生児聴覚スクリーニング検査を勧める自治体もありますし、お医者さんから勧められることもあるかと思います。
日々過ごす中で、音に反応しない、背後から声を掛けても振り向かない、など気になる症状があれば早めに相談する必要があります。
中には耳は聞こえているけれど、音や言語に反応しないなど「感覚統合」が上手く機能していないことが考えられます。
様々な感覚機能から入ってくる感覚を脳できちんと分類されないことを言います。
このことによって、音は聞こえてはいるけれど、そこから言語を分類して整理することができないため、発語に繋がらないのです。
つまづきを見つけ、感覚を上手に処理できるように訓練することが大切です。
「様子を見ましょう」の落とし穴
健診に行き相談をすると「集団に入れてください」や「様子を見ましょう」などアドバイスを受けると思います。
実はココで気を付けないといけません。
あくまで保健師さんは、その日初めて会った子どもをみてアドバイスをします。
日々の生活指導やお母さんが極端に口数が少ないなどの事情は見て取れるものとは限りません。
環境を変えなければ時間だけが過ぎてしまいます。
言葉通りに「様子を見て」あっという間に2歳、3歳となってしまいます。
その頃に言葉の遅れがあると障害を疑われ、希望していた幼稚園の入園許可が下りないなんてこともあります。
「パパも言葉が遅かったから大丈夫」なんて聞くと安心してしまいますが言葉は「出る・出ない」だけでは判断できません。
こちらの言っていることを理解している様子がある、頷くなどコミュニケーションが取れるなどで隠れた障害があるかも判断できます。
適切な関り方でキャッチアップ
集団に入れば言葉が促されることが期待されますが、すぐに発語に結びつくわけではありません。
例え集団に入れたとしても、ますます声を出せなくなる子どももいますし、個別にゆったり関わる方が発語を促すケースもあります。
言葉は知的好奇心から育ちますので、その子に合ったやり方で意識的なかかわりを増やすことで伸びていくのです。
そのため言葉が遅くても機能的な問題が無ければ様子を見ていて大丈夫・・・とは言い切れません。
早くから言葉を上手に使っていた子は自分の気持ちや考えを言語化するなど、言葉のスキルが高いのです。
例え言葉が出たとしても、すぐに上手に使えるとは限りません。
遅れた子はそこに追いついていかないといけませんのでより一層の働きかけが必要となります。
もしも言葉が遅いと感じたら、今までの環境を見直したり早めの相談をしてみるといいと思います。
様子を見るとは放っておくのではなく、絵本の読み聞かせや言葉でのかかわりを増やしてあげてくださいね。
読んでいただきありがとうございました。