ピグマリオン効果。上手に使いたい心理効果。教育の現場だけでなく新人教育や家庭でも。
ピグマリオン効果って・・・?
教育心理学における心理的行動のひとつです。心理学の実験で教師による期待で子どもの成績が上がると言われているものです。
その実験は無作為に選んだ児童数名を「今後成績が上がる可能性の高い児童」として教師に伝えると数か月後それらの児童の成績はアップしたという内容です。
教師は無意識のうちにその児童らに期待の眼を向け、児童もそれを意識したことによる効果と言われています。
今では人材育成の場面で取り入れる企業も多いそうです。上司や先輩は部下、後輩に対して「期待している」というメッセージを送り、受け取った部下や後輩はその期待に応えるべく自ら行動を起こし成果を上げようとします。
それにより上司や先輩もさらに部下や後輩を気にかけ、より良い好循環が生まれると言う訳です。
つまりピグマリオン効果は期待に応えたいと思い自ら努力することで成果が出る効果のことを言います。
応用して質の高い集団作りにも
「質の高い集団」とは、そこに身を置くことでお互いが高めあえるような組織です。
例えば教師がインクルーシブ教育に熱心でクラスの子どもたちにもインクルーシブ意識を持ってもらいたいと願っていたとします。
インクルーシブ社会の実現は君たちのような心の優しい志の高い子どもたちであると期待を込めれば良いのです。
ちょっと偏りのある例ですが「人には優しく」でも「きちんと挨拶ができる」でもプラスのことであればなんでも良いと思います。
同じような「ホーソン効果」というものもありますが「注目や関心」によって得られる効果に対し、クラス全体に対して「期待」することで全体の意識が高まり相乗効果が得られる「ピグマリオン効果」の方が「質の高い集団」作りには適しているように思います。
もちろん家庭でも応用できますね。
「あなたは自分で決めたことはきちんと守れて感心しているよ」など良い所をひとつ認めてあげるだけです。
それだけで子どもは嬉しくて期待に応えようとしてくれます。
気を付けないといけないのはピグマリオン効果は再現性がないと言われているので、あまり乱用はできません。
過剰すぎる期待はかけず、ここ一番って時に気持ちを込めてあげてくださいね。
逆の効果ももちろんあります
教育心理学における心理的行動には「ピグマリオン効果」のようなプラス行動だけではなくマイナスな行動もあります。
マイナスのイメージや低い期待値の中では子どもたちの成長も見込めないということです。
「この子はこれができない」「この子は教えても覚えない」「どうせできない」・・・
発信されたマイナスイメージは子どもたちに投影されてしまいます。
私たち保育者はもちろん親など、子どもたちを育てる者の心構えや倫理観、道徳観で子どもの人間性が大きく作用されることを意識しなくてはいけませんね。