ずっと一緒にいると気が付かない、子どもの”実”生活体験不足。見つめ直しましょう。
できないことが多い子どもたち
「雑巾を絞れない小学生」は話題に上がるのですがそれ以外にもたくさんありますよね。
私が幼稚園の先生になりたての頃は年少さんでもブランコを上手に漕げる子がたくさんいました。
十年たったころ「先生ブランコ押して~」と言われることが多くなったなと感じました。
それでも「ブランコと一緒に足を出して~」と教えると頑張って漕いで、しばらくして上手に漕げるようになっていました。
さらに十年たったころ相変わらず「ブランコ押して~」に応えながら漕ぎ方を教えようとすると何と「できない!」と怒り出す子が出てきました。挙句の果てには「もうやんない!」とブランコを降りてしまう子までいました。
手を出しすぎる親たち
「幼稚園に入ると自分のことは自分でやらないといけない」
これは入園前の保護者の方に伝えることですがリアリティーを持って聞ける方はどうも少ないようです。
「制服を着ることもお弁当箱をしまうことも子どもが実際できるかどうか、先ずはお家でやってみてください」と伝えたところで挑戦してみる家庭は半分もいません。
これは親というのはわが子の発達段階を知らないから起こることなのです。
「まだボタンなんて出来ない」と思い込み、被ればいいだけの洋服を着せていたり、いつまでもやってあげていることが多いのです。
追い打ちをかけるように便利な世の中です。
ボタン一つでできることが増えていく中で、やったことのないことが出てきてしまうのは当然です。
幼稚園に入園したての子どもが水道の蛇口がひねり方を知らずに手を出して待っている・・・
「そんな最新のわけないでしょ!」と心の中でツッコミを入れながら水の出し方を教えるところから始めています。
また少数派ですが「幼稚園に入れば何とかできるようになる」と思っている方もいます。
確かにその通りですが、ほとんどの子が出来ることが我が子は出来ずに「先生やって~」と言っている姿を想像すると切ないですね。
「やって~」と言ってやってもらっている子は先生を待っているので確実に行動がワンテンポ遅れてしまいます。
みんなが遊び始めているのに自分はまだ支度が終わらない・・・。
可哀そうだなと思います。
何でも画面で見られる現代
これは私たちも気を付けないといけないことです。
さる大型園では園児ひとり一台iPadが使え一斉に調べ物をするそうです。
実物を見てフィードバックする時間があるなど実体験に繋がる内容ならまだ理解できますが、その展開は残念ながら無かったようです。
それを保育としていることを本気で「良い」と捉えている経営者と教員と保護者に心配しかありません。
これは極端な例ですが、ここまでじゃなくても普段の保育でやっていませんか?
「秋だから折り紙でリンゴを折って飾ろう」
と思っても、リンゴは見たことあっても秋に結びついていない子どもはたくさんいますね。
大人には常識でも子どもたちは知らないこと、見たことがないことが思っている以上にあります。
保育の押しつけになっていないか考えてみませんか。
全部の体験と経験を幼稚園で賄うことは実際は不可能です。
家庭と協力して子どもたちの実体験を増やす取り組みをしていきたいなと心から感じます。
読んでいただきありがとうございました。